歴史はかくも美しく劇的に神によって創られる! マニー・パッキャオ!「THE BATLLE OF EAST AND WEST」
2009年4月14日、元6階級制覇世界王者のボクシング界のスーパー・スター、オスカー・デ・ラ・ホーヤが引退を決意した。
そのデ・ラ・ホーヤに事実上、引導を渡したのが元4階級制覇世界王者・フィリピンの国民的英雄パックマンことマニー・パッキャオであった!
パッキャオの戦績は53戦48勝(36KO)3敗2分。
マニー・パッキャオは昨年2008年12月6日に開催されたまさに階級を超えたノンタイトルのドリームマッチでデ・ラ・ホーヤと対戦。
全盛期は超えたとは言え、ミドル級のタイトルまで制したデ・ラ・ホーヤだ。
軽中量級の4階級を強打で制して来たパッキャオとは言え、あまりにも体格が違う、誰もがパッキャオのチャレンジは無謀と言った。
ところが無謀な筈のドリームマッチの蓋を開けてみると、体格では圧倒的に劣るパッキャオが、持ち前の強打とテクニックで終始デ・ラ・ホーヤを圧倒!
8R終了時、なんと、あのデ・ラ・ホーヤをTKOで屠った。
この瞬間、これまで、何度も煮え湯を飲まされていた多くのアジアのボクシング・ファン、格闘技ファンは思った筈だ。
ひょっとしたら、この小柄なフィリピン人が世界のプロ・ボクシングの歴史を塗り替えてくれるかもしれないと。
勿論、日本にも長谷川穂積や内藤大助らの現役の素晴しい世界チャンピオンは居る。
だが、彼らでは、本場アメリカでのビックビジネスの世界的興行を担う事は許されないのが現状だ。
実際、アジア人では商売にならなかったのが、これまでの本場のプロボクシングの世界なのだ。
其処にはアジア人に対する偏見もまだ残っていた。
日本時間2009年5月3日(現地時間5月2日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガス・MGMグランド・ガーデンでのIBO・S・ライト級タイトルマッチ・・・
「THE BATLLE OF EAST AND WEST マニー・パッキャオ vs リッキー・ハットン」が開催された!
パッキャオの対戦相手のザ・ヒットマン、リッキー・ハットンはイギリス・マンチェスター出身の元2階級制覇世界王者、こちらも強打のストライカー!
ハットンの戦績は46戦45勝(32KO)1敗。
オッズでは前試合でデ・ラ・ホーヤに勝利したパッキャオ有利であったが、元々軽い体重から上がって来たパッキャオでは、S・ライト級を主戦場とし、圧倒的なパワーを誇るハットンの強打の前に沈んでしまうのではないかという声がプロボクシング関係者筋からは漏れ伝わっていた。
両者ともアグレッシブでほとんど後ろに引かず、常に強いパンチを出すタイプの選手。年齢も同じ30歳。戦績も互角。
バッキャオは19歳という若さで世界チャンピオンになり、これまで、常に進化を見せていたが、今回は更に進化を見せなければ厳しい試合になる。
多くの猛者を沈めて来たバッキャオの左ストレートだが、今回は技術的にも更にプラスアルファが求められている。
そして、バッキャオが本場アメリカで真のスーパースターになるためにはこの試合でリッキー・ハットンを圧倒しなくてはならない。
敗北すれば、これまで、長い時間をを掛け築き上げて来た何もかもを失う事を意味する。
ボクシングというのは何と恐ろしいスポーツなのだろう。
今回の「THE BATLLE OF EAST AND WEST」のプロモーターは何とデ・ラ・ホーヤ!
デ・ラ・ホーヤにとっては引退決意後の最初の大仕事が、自身に引導を渡したマニー・パッキャオの試合となった。
デ・ラ・ホーヤには確信があったのかもしれない。
自身引退後のプロボクシング界を担えるスーパースターはどの階級を見てもマニー・パッキャオしか居ないと。
だからこそ、彼には最強の相手リッキー・ハットンと対峙する必要があると。
緊張した面持ちでリングに上がったリッキー・ハットンに対し、引き締まった肉体に穏やかな微笑みを浮かべ入場するパッキャオ。
その微笑みは真のスーパースターへの自身の道程の予感なのだろうか。
この試合はWOWOWで生中継されていた。
自宅の80インチスクリーンに映し出されたパッキャオの姿を観た瞬間、私も何か歴史的瞬間に立ち会えるような予感がした。
会場のラスベガス・MGMグランド・ガーデンの会場の空気もそれを期待する熱気に満ちているような気がした。
ゴングが鳴り、試合開始!
1R序盤、ハットンの圧力が勝り、パッキャオは少し下がり気味。
しかし、ハットンのパンチは一発もパッキャオには当たらない。
逆にパッキャオの右フックがカウンターで何度もハットンの側頭部を捉える!
パッキャオのプラスアルファはこれだったのだ!
パッキャオは得意の強烈な左ストレートを放つ前に、ハットンの想像を超える強い右フックをクロスして放つ!
全く対処出来無いハットン!
最初のダウンは1R残り57秒!
ハットンの大振りの左フックを軽く避けると同時にパッキャオの右フックが炸裂!
ハットンはカウント8で何とか立つ。
一気に攻勢に出るパッキャオ!
右フックと左ストレートが次々にヒット!
ハットンが棒立ちになったところで、パッキャオ得意の左ストレートが綺麗にハットンを打ち抜く!
1R残り8秒でハットン2度目のダウン!
何とか1R終了の前に立ち上がりゴングに救われるハットン。
1分の休憩で何処まで回復出来るか・・・。
2R開始のゴング。
何とか立て直しを図ろうとするハットン。臆せずに1Rと同様、前に圧力を掛けようとする。
しかし、ハットンはのパンチはヒットせず、クリンチに持って行くところまでしか出来ない。
ハットンが右フックを警戒するとパッキャオの左ストレートがヒットし、左ストレートを警戒すると右フックが飛んで来る。
混乱するハットンに対し、冷静なパッキャオ。
対照的だが両者ともアグレッシブなので、非常に素晴しい試合だ。
ハットンは2R中盤、パッキャオのボディに一発入れるが、鍛え抜かれたパッキャオの体にダメージを与える事は出来ない。
それでも、多少、試合が落ち着くかと思った2R残り8秒!
パッキャオの強烈な左アッパーがハットンの顎を見事に捉える!
そのままリングに仰向けに倒れ、ピクリとも動けないハットン!
レフリーはすぐに試合を止め、パッキャオの2RTKO勝利!
まさにボクシングの歴史に新たな一頁を刻んだメガトン級の一発!
フィリピンの貧しい農村に生まれた小柄な一人の男が、プロボクシングのシンボルとなった歴史的瞬間!
試合を終えた後、傷ひとつないパッキャオにはまた穏やかな微笑みが戻った。
しかし、其処にはプロボクシングのシンボルとなったオーラも同時に纏っていた。
WOWOWの中継ゲストの俳優・香川照之がこのKOシーンを観て「神の介在を感じる」と表した。
まさにその通り。歴史はかくも美しく劇的に神によって創られるのだ。
ボクシング・ファン、もしくは格闘技ファンでなければ、この日本でマニー・パッキャオの名を知る者はまだ然程多くない。
だが、アジア人「マニー・パッキャオ」の名は間違いなく後世に残り、ロッキー・マルシアノ、モハメド・アリ、オスカー・デ・ラ・ホーヤらと並び称される事となるであろう。
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